2011年3月19日土曜日

未来を信じて!

 昨日、レジリエンスという言葉に出会って、自分にも言えることが一つあることに気づきました。

 阪神淡路大震災で祖父の家は半壊(2階建ての家なのに、1階から空が見えていました)、祖父の隣の家は全壊し、私をかわいがってくれたその家のおばあちゃんは下敷きになりました。私の父がおばあちゃんのご遺体を瓦礫の中から見つけ出したのです。

 助かった祖父はしばらく仮設住宅に住んでいましたが、運良く1年も経たないうちに自宅も建て直され、次のお正月は新しい自宅で過ごせました。

 また、私は、直後の1年間、全国展開している予備校の予備校生として、神戸は三ノ宮に通いましたが、1年のうちに、街がみるみる復興していきました。

 「がんばろう、神戸!」

 この合い言葉を胸に、皆ががんばり、神戸校は全国の系列予備校の中でも成績がトップだったのを思い出します。

 「こころ」の復興までは、自分の経験からも時間がかかるかもしれません。いえ、いつまでもその傷跡が残るものなのかもしれません。

 しかし、街はきっとそれよりも早く復興してくることと思います。もちろん、すべてが完全に復興するにはある程度の時間がかかるかもしれませんが、必ず、復興すると思います。この数年は関西に帰っても、地震があったなんて、とても思えません。

 被災地の方は絶望的な毎日を送ってらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。

 未来を信じて、この有事を乗り越えて頂きたいです!

 「がんばろう、東北!」

 そして、我々日本国民は完全に復興するまで、忘れずに応援をしていきたい!

 

2011年3月18日金曜日

レジリエンス

 購読しているメールマガジンで

  「レジリエンス(resilience)」

 という言葉を知りました。

 日本語に訳すと

  「困難な状況にもかかわらず、うまく適応できる力」

 となるそうです。


「レジリエンスが強い人は、次の3つの特徴をもっています。

  1.肯定的な未来志向性
      -未来に対して肯定的な期待を常にもっていること

  2.感情の調整
      -感情のコントロールを行えること

  3.興味・関心の多様性
      -さまざまな分野に興味・関心をもっていること」

 最近の自分は、レジリエンスが弱くなっているように感じていたので、自分を責める気持ちが生じていたのですが、これを読んで、2がうまくできていないことに、改めて気づけました。

 「レジリエンスは、これまで特に災難の経験が多かった人が
  必ずしも強くなるわけではありません。」

 という言葉にも救われました。

 私は阪神淡路大震災を経験したのに、その経験が何の役にも立っていないのではないかと思っていたのです。また、所属している組織の臨時スタッフ会議で、自分たちのできる災害支援について話し合っているときに、後輩の「震災経験者は災害支援の派遣から外した方がいいのかもしれませんね。」という発言を聞いて、阪神淡路大震災を経験したからこそ、2の感情の調整がうまく行かないんだろうということにも気づけました。

 「困難な状況からの回復には、心の持ちようのほうが、
  これまでの経験よりも効果があることがわかっています。」

 心の持ちようの方が大切なんですね。私も感情をうまく調整すること「心の持ちよう」ができれば、今の苦しい状況から脱することができるのではないかと思えました。

「そして、

  ・安定した家庭環境や親子関係があること

  ・セルフ・エスティーム(自尊心)や共感性が育っていること

  ・コンピテンス、スキル、
   ユーモア、コミュニケーション能力があること

 などにより、レジリエンスの特徴が高まることがわかっています。」

 私は、4月から生活が変わるので、家庭環境が不安定になっているのは事実です。ただし、両親も親戚も、ほとんどの方が関西より西にいるので、親子関係は安定しています。この1年で、セルフ・エスティームも、昨年までよりは育ったように思います。まじめすぎるところがあり、ユーモアが足りない部分がありますが、レジリエンスを高めるために、気をつけたいと思います。

 時間を作って、2月28日に購入したどうしたらおもしろい人間になれますか? ~よしもと式クリエイター養成講座の現場から~ (ヨシモトブックス)
も読んでみたいな。

2011年3月15日火曜日

「信頼が大事なんだね。」

 今日、患者さんから言われた言葉です。

 昨年4月に私が北星ファミリークリニックで診療を始め、5月頃に受診して下さった方です。

 最初の数か月は、よい患者ー医師関係を築けているとはとても思えず、自分自身が辛くなるときもありました。

 しかし、昨年末に、私が高血圧への介入を始めたのをきっかけに、急速に、患者ー医師関係がよくなっていくのを感じました。

 (1)家庭血圧をつけてきて頂き、それを元に薬を調整する。
 (2)薬以外の生活習慣改善の相談もする。
 (3)家庭血圧手帳に、「八藤」のはんこを押す。

 これを2週間に1回行ったのですが、「先生、はんこ忘れないでね。何だか、押してもらえると嬉しいんだよ。」と言われるまでになりました。

 そして、2月のある日、禁煙の提案をしたところ、以前は「絶対やめない!」とおっしゃっていたのに、「やってみる!」と言って下さったのです。

 今日はその禁煙外来の2回目の診察でした。

 その診察の中で、患者さんから、

 「(先生への)信頼が大事なんだね。そのことがよくわかったよ。これまでは、病院に行っても怒られてばっかりだったからね。」

 とおっしゃって頂けたのです。

 9年間の医師人生、そして、研修を終えてから5年間の家庭医人生の中で、このようにはっきりと患者さんから、「信頼が大事」と言われたのは初めてだったので、とても感動しました。

 「患者様」が医療を壊す (新潮選書)という本の中では、患者さんが自分の医師を信頼することの大切さが書かれていて、私自身も共感する部分が多く、クリニックのスタッフにも読むようにと紹介したのですが、まさに、それを経験することができました。

 「家庭医って、どんなことができる医者なのか?」

 と医学生や研修医から聞かれることもあるのですが、簡単には言葉にすることができないけれど、一度経験してもらえればわかってもらえることもたくさんあるんですよね。

 私は指導医として、何とか、言葉にしていかなければならないのですが、もし、あなたが、すでに、家庭医を目指して研修をされているのであれば、自分が家庭医を目指した思いを信じて、続けて頂きたいのです。

 必ずや、自分が何ができるのか、どんな役割を期待されているのか、どんな風に働くことで社会に役立っていけるのか、わかる日が、考えられる日が来ると思います。

 院長になってようやく1年ですが、室蘭で院長代行として働いていたのではきっと経験できなかった経験をさせてもらえています。

 自分にこのような役目を与えてくれた関係者の皆様に感謝いたします。

2011年3月14日月曜日

産婦人科診療

 本日、北星ファミリークリニックの副院長(北海道家庭医療学センターのフェロー)が近隣の産婦人科を標榜するクリニックで、自分の患者さんを一緒に診察させて頂きました。

 家庭医が働く中で、産婦人科疾患を診察することもありますが、北星ファミリークリニックは継承する前のクリニックが「内科・消化器科」を標榜していたため、産婦人科の診察をする診察台がありません。

 また、北星ファミリークリニックも「家庭医療科」と標榜ができないために、「内科・小児科」と標榜せざるを得ず、産婦人科の診察をしようとしても、受療者の方が不審に思われる場合もありますので、慎重にならざるを得ません。

 そこで、考えたのが、近隣の産婦人科を標榜するクリニックに患者さんを紹介させて頂き、自分も患者さんと一緒に行って、診察をさせて頂くという方法です。

 2月28日に院長先生と事務長さんにお願いに伺ったのですが、快く引き受けて頂き、今回の連携が実現しました。

 産婦人科のクリニックの院長先生を始め、全スタッフの皆様、本当にありがとうございます!