2011年3月15日火曜日

「信頼が大事なんだね。」

 今日、患者さんから言われた言葉です。

 昨年4月に私が北星ファミリークリニックで診療を始め、5月頃に受診して下さった方です。

 最初の数か月は、よい患者ー医師関係を築けているとはとても思えず、自分自身が辛くなるときもありました。

 しかし、昨年末に、私が高血圧への介入を始めたのをきっかけに、急速に、患者ー医師関係がよくなっていくのを感じました。

 (1)家庭血圧をつけてきて頂き、それを元に薬を調整する。
 (2)薬以外の生活習慣改善の相談もする。
 (3)家庭血圧手帳に、「八藤」のはんこを押す。

 これを2週間に1回行ったのですが、「先生、はんこ忘れないでね。何だか、押してもらえると嬉しいんだよ。」と言われるまでになりました。

 そして、2月のある日、禁煙の提案をしたところ、以前は「絶対やめない!」とおっしゃっていたのに、「やってみる!」と言って下さったのです。

 今日はその禁煙外来の2回目の診察でした。

 その診察の中で、患者さんから、

 「(先生への)信頼が大事なんだね。そのことがよくわかったよ。これまでは、病院に行っても怒られてばっかりだったからね。」

 とおっしゃって頂けたのです。

 9年間の医師人生、そして、研修を終えてから5年間の家庭医人生の中で、このようにはっきりと患者さんから、「信頼が大事」と言われたのは初めてだったので、とても感動しました。

 「患者様」が医療を壊す (新潮選書)という本の中では、患者さんが自分の医師を信頼することの大切さが書かれていて、私自身も共感する部分が多く、クリニックのスタッフにも読むようにと紹介したのですが、まさに、それを経験することができました。

 「家庭医って、どんなことができる医者なのか?」

 と医学生や研修医から聞かれることもあるのですが、簡単には言葉にすることができないけれど、一度経験してもらえればわかってもらえることもたくさんあるんですよね。

 私は指導医として、何とか、言葉にしていかなければならないのですが、もし、あなたが、すでに、家庭医を目指して研修をされているのであれば、自分が家庭医を目指した思いを信じて、続けて頂きたいのです。

 必ずや、自分が何ができるのか、どんな役割を期待されているのか、どんな風に働くことで社会に役立っていけるのか、わかる日が、考えられる日が来ると思います。

 院長になってようやく1年ですが、室蘭で院長代行として働いていたのではきっと経験できなかった経験をさせてもらえています。

 自分にこのような役目を与えてくれた関係者の皆様に感謝いたします。

0 件のコメント: