2011年5月8日日曜日

成功の秘訣 六十六翁 内山鑑三

なぜ、社員10人でもわかり合えないのかで、小宮山社長が紹介して下さっていた内山鑑三氏の成功の秘訣。
「私は悩んだら、いつもここに立ち返る。」とのことで、僕もまとめておきたいと思いました。

一、自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一、本を固うすべし、然らば事業は自づから発展すべし。
一、急ぐべからず、自働車の如きも成るべく徐行すべし。
一、成功本位の米国主義に倣ふべからず。誠実本位の日本主義に則るべし。
一、濫費は罪悪なりと知るべし。
一、能く天の命に聴いて行ふべし。自から己が運命を作らんと欲すべからず。
一、雇人は兄弟と思ふべし。客人は家族として扱ふべし。
一、誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一、清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一、人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。

2011年4月30日土曜日

【読書感想】日経トップリーダー編『なぜ、社員10人でもわかり合えないのか』

 看護師面談をする中で、いろいろな問題点を聞くことができて、コミュニケーションの難しさを感じていたときに出会った一冊が、なぜ、社員10人でもわかり合えないのかでした。

 普段からお世話になっている鏡(例えば、飛行機の荷物入れの鏡)を作成しているコミーという会社のお話で、第1章の会社の紹介だけでも、とても興味深く読めたのですが、第2章、第3章と読み進めていくうちに、自分が悩んでいたことに答えてくれる内容なので、またまた、一気に読み終えました。

 クリニックの運営にも応用できる内容がたくさんありましたし、改善のアイデアがたくさん出てきて、至福の時間を過ごせました。

 【明日から自分が気をつけたいこと】
 ・「小さな組織でもコミュニケーションはとりにくい」ことを自覚する。
 ・大切なことはしつこいくらいにくり返し伝える、または、伝えてもらう。
 ・「なぜ?」を聞く。
 ・スタッフ本人から働きやすさについて話を聞く。
 ・「誤解は生じうる」ことを自覚する。
 ・思い立ったら、即修正する。
 ・スタッフに「ドンドン変わる」ではなく、「ドンドン良くなっている」と思ってもらえるように工夫する。
 ・「我々は何を提供したいのか」ではなく、「受療者は何を求めているのか」を考える。
 ・得手に帆を上げ。
 ・苦手なことは苦手と伝える。
 ・ロボットにならない。
 ・慣れる前に考える。
 ・「過去・現在・未来」を貫く。
 ・「無所属の時間」を実践する。
 ・内村鑑三氏の「成功の秘訣」を3週間は毎日声に出して読む。
 
 【明日からクリニックで取り組みたいこと】
 ・院内用語集作成。
 ・月1回の土曜会議(まずは提案してみよう・・・)。
 ・マニュアル作り(完成品でなくてよくて、使いながら修正する)。
 ・診察順を徹底する。
 ・スタッフにペンとメモ帳を渡し、メモをとってもらう。
 ・どんなに小さな問題でも、見つけた人が『大騒ぎ』するように徹底する。
 ・プロセスを物語風に書き残す。
 ・受療者の方にブログを紹介し見てもらう。最終的には要望ももらう。
 ・慣れてない人にもわかるシステム作りをする。
 ・看護師の負担を減らすために外部の方に協力してもらえる部分は協力してもらう。
 ・面会者の方が来たら、存在感のあるフラッグを診察室においてもらう。
 ・院外で心電図をとるときには、看護師と受療者(介護者や家族も含む)でIDを確認する。
 ・全体会議(スタッフ全員参加)で発表する内容を絞る。
 ・朝会で報告する項目に「訪問看護からの連絡メール」を追加する。

 【家庭では・・・】
 ・家庭内用語集を作ってみる。

せっかく思いついたので、列挙してみました。
普段からよく考えてらっしゃる方がご覧になったら、たいしたことないアイデアかもしれませんが、今自分では実行できていないので、まずは実践してみたいと思います!

2011年4月17日日曜日

NHK マイケル・サンデル教授特別講義「大震災後の世界をどう生きるのか」

 昨年末、NHK DVD ハーバード白熱教室 DVD BOX [DVD]を購入し、視聴してから、その講義のスタイルのファンになっていたマイケル・サンデル教授。

 昨日、「大震災後の世界をどう生きるのか」という特別講義がNHKで21時から放送されました。

 私が出演者の方と大きく意見が異なったのはジャン・ジャック・ルソーの言葉が紹介されたところです。

 「人道主義の精神は世界全体に広がると薄まり、弱まってしまう。私たちヨーロッパ人は日本で起きた災害に、ヨーロッパを襲った災害と同じだけの衝撃を受けるわけではない。」

 私は全くその通りだなと思いました。私自身も今回の東日本大震災で受けた衝撃はスマトラ島沖地震よりも大きかったです。

 今、ビジネスブックマラソンというメールマガジンで、土井英司さんが、【BBM:偉人に学ぶ、建国の精神】という題名で紹介して下さった、マッツィーニ 人間の義務について (岩波文庫)を読んでいます。

 この本には第1の義務として人類に対するものと書かれています。つまり、人類に対する義務が最も重要であるということなのです。

 「同じだけの衝撃を受けるわけではない」からこそ、人間の義務として、人類に対する義務を意識することが大事なんだと私は思っています。

 しかし、ルソーが生きていた時代と違うのは、世界のことを知る手段が増えていることにあると思います。文字で伝えられる情報よりも、映像や音声で伝えられる情報量が多く、その情報が与える衝撃が変わってくるからです。

 そういう点では、作家の石田衣良さんが

 「もし、ルソーが今生きていたら、YouTubeで津波のムービーを見てこれは世界の果てのことではなくて、自分の隣で起こったことだと思ったと思います」

 と発言されたのも納得です。

 より身近に思えるようになったからこそ、祖国のことを考える前に、人類への義務を考える必要があるのではないかと思います。

2011年4月16日土曜日

最後の先生

 春は出会いの季節ですね。

 今日は午前中、外来診療だったのですが、新しい出会いがありました。

 「最後の先生になると思うので・・・」

 と患者さんのご家族の一言。嬉しかったです。

 いつの頃からだろう。

 こんな風に期待されても怖じ気づかなくなったのは・・・。

 今はこんな風に言ってもらえると、めちゃくちゃ遣り甲斐を感じます。

 自分の家庭医としての成長もあると思うのですが、実は、もともとの負けず嫌いの性格が大いに関係していると思うんです。

 『他でダメやった?それやったら、俺がやったろやないかい。』って、どこかで思うんですよね。

 受験生の頃の嫌な自分がいて、負けず嫌いの性格って、自分ではよくないよなぁと思って、何とかこの性格を変えたいと思っていたのですが、結局、性格って変わらないんですよね。

 それなら、この性格も前向きに使っちゃおうと言うことで、今日も笑顔でこの一言。

 「是非、私に任せて下さい。」

 もう後には引けません。

 患者さんやご家族の期待に答えて、いえ、期待を上回るような仕事をして、全国の家庭医の仲間の評判もよくなるような診療をしたいです。

 来週が楽しみです♪

2011年3月28日月曜日

旅立ち

 今日、一緒に働くN先生が福島県に向けて、旭川空港から旅立ちました。

 せっかく、昨日、『心を整え』られたと思っていたのに・・・。

 今まで、辛い状況を想像しないようにしていたんだということに改めて気づきました。

 きっかけはTwitterで話題になっていたブログ記事です。

 被災地に医療活動に行った看護師さんの日記です。

 そこには報道では見えてこない、いえ、見せられない過酷な状況も記載されていました。

 想像しようと思えば想像できない状況ではなかったと思うのですが、避けていたんですね。やっぱり、自分が辛くなりますから。

 でも、毎日顔を合わせている人がその現場に行くとなると、状況を想像せざるを得ません。

 僕が心配するなんて、N先生に申し訳ない。N先生はきっと大丈夫。皆さんのお役に立って帰ってきてくれるはず。

 そう思ってはいるのですが、どうしても心配してしまう気持ちがあります。

 N先生が帰ってくるまで、僕はこの気持ちとうまく付き合ってかなきゃ。

2011年3月27日日曜日

長谷部誠著『心を整える。』

 東北地方太平洋沖地震の後、非被災地にいる僕も、何だか落ち着かない気持ちでずっと過ごしていました。

 以前のブログにも書いたのですが、阪神淡路大震災を経験したことも影響していると思います。今でも地震があると、震度2や3であっても、当時感じた恐怖がよみがえってきます。

 それだけではなく、津波の映像をテレビで見たり、TwitterやFacebookのタイムラインを眺めているだけで、いろいろな思いに駆られ、何だか落ち着かない日々が続いていました。

 そんなある日、購読しているビジネスブックマラソンというメールマガジンで、土井英司さんが、 【BBM:長谷部流・心を整える方法】という題名で、日本代表の長谷部誠さんの著作である心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣を紹介して下さいました。

 「連日の余震で、毎日不安な時間を過ごしている方も多いと思いますが、
  そんな方のために、本日は、「心を整える」ための本を紹介。」

 『これって、今の自分にぴったりの本じゃないか?』と思い、早速、購入!

 届いてから、読み始めました。

 ページを開くと、テレビでよく見た長谷部さんの顔。

 「まえがき」を読んでも、サッカーの話。

 うーん・・・。

 サッカーを、日本代表が活躍する日本国民なら誰もが見そうな試合くらいしか見ない僕に、プロサッカー選手の長谷部さんの言葉が響くのだろうか・・・と、実は、半信半疑で読み始めました。

 しかし、僕の心配は杞憂で終わりました。

 読み進めるうちに、引き込まれるように夢中で読みました。

 今の自分の心が落ち着くだけじゃなく、日々の仕事へのヒントもたくさんもらえました。

 そして、ある章まで到達したとき、この本の凄さの理由がわかりました。

 その章は「33 読書は自分の考えを進化させてくれる」です。

 「プロサッカー選手というのは、長時間練習するわけではないから、意外と空き時間が多い。そういう時間を有効活用するためにも、僕は本を読むようにしている。」

 「ドイツに行ってからは哲学系の本が圧倒的に増えた。それはデール・カーネギーの『人を動かす』という本に出会ってからだ。」

 「機内持ち込みのスーツケースの半分くらいを本が占めてしまうこともある。」

 僕は、プロサッカー選手というのは、サッカーの練習で、1日が終わってしまうと勝手に想像していたので、とても驚きました。

 でも、『これだけの本を書けるのは、きっと、圧倒的な読書量の賜物なんだろうな。』と納得できました。

 読み終えると、共感できる部分や実践したいことがたくさんあったので、早速、明日から、少しずつ取り組んでいこうと思います。

 著者の長谷部誠さん、紹介して下さった土井英司さん、私の家に本を届けて下さった関係者の皆様、ありがとうございます!

2011年3月26日土曜日

家庭医による被災地の支援

 本日、午前の診療中に、私が所属する北海道家庭医療学センターの理事長から電話がありました。

 「先日、募集していた被災地の医療支援なんだけれども、N先生が志願してくれていたんだよね。学会の方から、北海道家庭医療学センターに支援要請が来たのだけれど、ちょうど今の時期、どのサイトも人員交代の時期なので、人員の交代がない旭川から行ってもらえないだろうか。日程は来週の月曜日からなんだ。」

 私は、N先生が志願してくれていたことを初めて聞き、頼もしく思ったのですが、来週は自分が不在の日もあり、急な対応が難しいと判断し、最初は断ってしまいました。

 しかし、他のサイトから人を出すのも難しいということもよくわかっていました。北海道家庭医療学センターは家庭医を道内の6つの診療所(=サイト)に出向しているのですが、そのうちの何名かは家庭医になるための専門研修を受けています。そして、年度が替わるときに研修医も交代するので、他の5つの診療所はこの時期とても多忙なのです。
 
 また、自分の所属する日本プライマリ・ケア連合学会の理事の先生方が震災の直後からメーリングリストで支援すべきという声を上げ、東日本大震災支援プロジェクト(Primary Care for All Team;略称:PCAT)を立ち上げたことや実際に活動している先生方の動きをFacebookやTwitterや「疲弊医師支える医師」(朝日新聞)「被災地に家庭医が必要…山梨」(読売新聞)の報道で知っていたのもあり、電話を切った後、改めて、来週のGoogleカレンダーや訪問診療の予定、外来の予約などを見直しました。

 そして、何よりも、自分の直属の部下であるN先生が志願してくれているという事実が、何とかしたいという思いにつながりました。

 M事務長や一緒に働くW先生にも連絡をして、調整を行い、3月28日から送り出せるようにしようと決断しました。

 早速、理事長にお返事し、N先生にも電話しました。

 「クリニックは我々で何とかするから、クリニックのことは気にしなくていいので、自分自身とご家族とよく相談してから、受けるかどうかを判断して下さい。」

 最後にこう言えてよかった・・・。M事務長、W先生、ありがとうございます!

2011年3月25日金曜日

家庭医になるためには??

 Facebookで、大先輩の先生から「どなたか答えて頂けませんか?」と依頼があったので、答えてみました。

 質問は”13歳のハローワーク”という本の公式サイトに投稿されたものです。

 「家庭医になるためには??
  高校生(女)
  私は医学部を目指している高校生です
  最近、専門医ではない家庭医という存在を知りました。
  実際、家庭医になるためにはどのようなステップを踏めば良いのでしょうか??
  よろしくお願いします」

  私の回答はコチラ

  ”はっちゃん”というニックネームで投稿してます〜!

 短時間で集中して書いたので、読み返してみると、専門用語が多くって、高校生には難しい内容になってしまったな・・・と反省しています。

 ただ、日本プライマリ・ケア連合学会の日本医学会への加盟が認証された今、学会認定の後期研修プログラムを修了して、専門医資格を取得するというステップが家庭医になるための1つの大きな道であると自信を持って言いたいのですが・・・いかがでしょう?

2011年3月24日木曜日

日本プライマリ・ケア連合学会学術大会実行委員会

 本日は午後から診療をお休みさせて頂き、札幌に出張して参りました。

 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の実行委員会に出席するためです。

 学術大会は7月に札幌で行われるのですが、私が所属する北海道家庭医療学センターの理事長が大会長をする関係で、私も若手ワーキンググループの代表をさせて頂いております。

 まず、大きな議題は、学術大会を行うかどうか、だったのですが、札幌は幸い、計画停電の影響もないため、実行委員会としては実施の方向で、学会の理事会に大会長から提案することに決まりました。

 また、日本プライマリ・ケア連合学会 東日本大震災支援プロジェクト PCAT の企画も行えないか検討することになりました。

 大会長から少しお話を聞いたのですが、震災の直後から、学会の理事のメーリングリストで、学会として、支援をしてはどうかという話が出ていたとのことで、私はとても感動しました。多くの学会員の皆様が興味を持って下さるのではないかと思っています。

 日本プライマリ・ケア連合学会が日本医学会への加盟を認証された歴史に残る年だとも思いますので、開催されることを切に願います。

2011年3月22日火曜日

ネガティブ・フィードバック

 今日はネガティブ・フィードバックを行いました。

 ネガティブ・フィードバックとはグロービスのMBA経営辞書の解説によると、「被評価者にとって望ましくない内容のフィードバック」とあります。

 つまり、フィードバックされる人にとっては、聞きたくないことを聞かされるのです。自分がネガティブ・フィードバックをされることを考えると、どうしても、慎重にならざるを得ません。

 先週の金曜日に、スタッフから相談があり、ネガティブ・フィードバックをする必要があると判断しました。

 そして、昨日、まず、話し合いの場を設定したい旨をメールで伝えました。

 今日は午前中、空き時間を見つけて、連絡が取れる限りの関係者に連絡を取り、問題の核心がどこにあるのかを自分なりに把握しました。

 そして、伝えるべき内容を伝えて、SEA (Significant Event Analysis)のフォーマットに従って、まとめてもらうように依頼しました。

 ネガティブ・フィードバックをする際には、学習者がどう感じるのか、落ち込まないだろうか、職場に来るのが嫌にならないだろうか、自分に反感を抱いたりしないだろうか、などなど、いろいろな心配があります。

 こんなに心配しなくちゃ行けないのなら・・・と、何もなかったかのようにやり過ごすこともできたでしょう。

 確かに、少し躊躇もしたのですが、たまたま週末に読んでいた「人を動かす人」になるために知っておくべきことに、次のようなことが書いてありました。

 「自分もつらくなるような批判は、口にする価値があると考えていいだろう。言えばすっきりすると思うことなら、口を閉じていることだ。」

 この言葉を読んで、やはり、ネガティブ・フィードバックをやろうと思いました。

 そして、今日しました。やっぱり、つらい。今も何だか胃のあたりが苦しいような感じもしています。

 自分で振り返ってもらいたいと思ったので、SEAをお願いしたのですが、SEAを作っている間、どんな風に思っているのかと想像すると、どうしても悪い方向に考えてしまって、つらいです。

 でも、自分がつらくなるようなネガティブ・フィードバックだからこそ、してよかったと信じて、SEAの完成を待つことにします。

 こう考えると、自分がネガティブ・フィードバックをもらえるというのは本当に少ないんだろうなぁ・・・と感じました。裸の王様にならないように気をつけねば・・・。
 

2011年3月20日日曜日

北海道家庭医療学センター 後期研修医 研修修了式

 昨日は北海道家庭医療学センターの後期研修修了式でした。

 修了式を行うかどうか、理事長と常務理事の間で意見が交わされ、最終的に行うことになりました。

 今回、研修を修了するメンバーは北海道家庭医療学センターのセンター長が今の理事長に交代した初年度に、初期研修医として室蘭の日鋼記念病院に来てくれ、北海道家庭医療学センターが独立した初年度に、後期研修医として北海道家庭医療学センターに就職してくれたメンバーでしたので、苦難の時期に、我々とともに働くことを決断してくれたことに感謝する意味でも、行うことにしたとのことでした。

 また、日頃、お世話になっている町村や医療法人の方に直接、お会いすることのできる貴重な場にもなっているので、日ごろの感謝を伝えるためにも、行う必要がありました。

 今年も、自分が研修医の時にお世話になった町長や看護師長も来て下さり、自分の研修医時代を思い出しました。看護師長は私が研修医1年目の頃から知っている方なので、後期研修医2年目の時に、「ハッちゃん、ずいぶん、患者さんやご家族への説明が上手になったね。」とほめられたときは、とても嬉しかったです。

 毎年、修了式に参加すると、初心に戻れます。

 また、どれだけの方に支えて頂いているかを実感できる場でもあるので、気持ちが新たになります。

 私にとっては、自分たちが何のために働いているのかを振り返る貴重な場になっています。

 今年の修了生で、北海道家庭医療学センターの後期研修を終えた人は37名になりました。

 後期研修が始まり15年。

 年々、わずかですが、修了生が増えていくことが仕事のやりがいにつながっています。

 修了生の4名の皆さん、お疲れ様。

 大いに学ばせてくれて、ありがとう!

2011年3月19日土曜日

未来を信じて!

 昨日、レジリエンスという言葉に出会って、自分にも言えることが一つあることに気づきました。

 阪神淡路大震災で祖父の家は半壊(2階建ての家なのに、1階から空が見えていました)、祖父の隣の家は全壊し、私をかわいがってくれたその家のおばあちゃんは下敷きになりました。私の父がおばあちゃんのご遺体を瓦礫の中から見つけ出したのです。

 助かった祖父はしばらく仮設住宅に住んでいましたが、運良く1年も経たないうちに自宅も建て直され、次のお正月は新しい自宅で過ごせました。

 また、私は、直後の1年間、全国展開している予備校の予備校生として、神戸は三ノ宮に通いましたが、1年のうちに、街がみるみる復興していきました。

 「がんばろう、神戸!」

 この合い言葉を胸に、皆ががんばり、神戸校は全国の系列予備校の中でも成績がトップだったのを思い出します。

 「こころ」の復興までは、自分の経験からも時間がかかるかもしれません。いえ、いつまでもその傷跡が残るものなのかもしれません。

 しかし、街はきっとそれよりも早く復興してくることと思います。もちろん、すべてが完全に復興するにはある程度の時間がかかるかもしれませんが、必ず、復興すると思います。この数年は関西に帰っても、地震があったなんて、とても思えません。

 被災地の方は絶望的な毎日を送ってらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。

 未来を信じて、この有事を乗り越えて頂きたいです!

 「がんばろう、東北!」

 そして、我々日本国民は完全に復興するまで、忘れずに応援をしていきたい!

 

2011年3月18日金曜日

レジリエンス

 購読しているメールマガジンで

  「レジリエンス(resilience)」

 という言葉を知りました。

 日本語に訳すと

  「困難な状況にもかかわらず、うまく適応できる力」

 となるそうです。


「レジリエンスが強い人は、次の3つの特徴をもっています。

  1.肯定的な未来志向性
      -未来に対して肯定的な期待を常にもっていること

  2.感情の調整
      -感情のコントロールを行えること

  3.興味・関心の多様性
      -さまざまな分野に興味・関心をもっていること」

 最近の自分は、レジリエンスが弱くなっているように感じていたので、自分を責める気持ちが生じていたのですが、これを読んで、2がうまくできていないことに、改めて気づけました。

 「レジリエンスは、これまで特に災難の経験が多かった人が
  必ずしも強くなるわけではありません。」

 という言葉にも救われました。

 私は阪神淡路大震災を経験したのに、その経験が何の役にも立っていないのではないかと思っていたのです。また、所属している組織の臨時スタッフ会議で、自分たちのできる災害支援について話し合っているときに、後輩の「震災経験者は災害支援の派遣から外した方がいいのかもしれませんね。」という発言を聞いて、阪神淡路大震災を経験したからこそ、2の感情の調整がうまく行かないんだろうということにも気づけました。

 「困難な状況からの回復には、心の持ちようのほうが、
  これまでの経験よりも効果があることがわかっています。」

 心の持ちようの方が大切なんですね。私も感情をうまく調整すること「心の持ちよう」ができれば、今の苦しい状況から脱することができるのではないかと思えました。

「そして、

  ・安定した家庭環境や親子関係があること

  ・セルフ・エスティーム(自尊心)や共感性が育っていること

  ・コンピテンス、スキル、
   ユーモア、コミュニケーション能力があること

 などにより、レジリエンスの特徴が高まることがわかっています。」

 私は、4月から生活が変わるので、家庭環境が不安定になっているのは事実です。ただし、両親も親戚も、ほとんどの方が関西より西にいるので、親子関係は安定しています。この1年で、セルフ・エスティームも、昨年までよりは育ったように思います。まじめすぎるところがあり、ユーモアが足りない部分がありますが、レジリエンスを高めるために、気をつけたいと思います。

 時間を作って、2月28日に購入したどうしたらおもしろい人間になれますか? ~よしもと式クリエイター養成講座の現場から~ (ヨシモトブックス)
も読んでみたいな。

2011年3月15日火曜日

「信頼が大事なんだね。」

 今日、患者さんから言われた言葉です。

 昨年4月に私が北星ファミリークリニックで診療を始め、5月頃に受診して下さった方です。

 最初の数か月は、よい患者ー医師関係を築けているとはとても思えず、自分自身が辛くなるときもありました。

 しかし、昨年末に、私が高血圧への介入を始めたのをきっかけに、急速に、患者ー医師関係がよくなっていくのを感じました。

 (1)家庭血圧をつけてきて頂き、それを元に薬を調整する。
 (2)薬以外の生活習慣改善の相談もする。
 (3)家庭血圧手帳に、「八藤」のはんこを押す。

 これを2週間に1回行ったのですが、「先生、はんこ忘れないでね。何だか、押してもらえると嬉しいんだよ。」と言われるまでになりました。

 そして、2月のある日、禁煙の提案をしたところ、以前は「絶対やめない!」とおっしゃっていたのに、「やってみる!」と言って下さったのです。

 今日はその禁煙外来の2回目の診察でした。

 その診察の中で、患者さんから、

 「(先生への)信頼が大事なんだね。そのことがよくわかったよ。これまでは、病院に行っても怒られてばっかりだったからね。」

 とおっしゃって頂けたのです。

 9年間の医師人生、そして、研修を終えてから5年間の家庭医人生の中で、このようにはっきりと患者さんから、「信頼が大事」と言われたのは初めてだったので、とても感動しました。

 「患者様」が医療を壊す (新潮選書)という本の中では、患者さんが自分の医師を信頼することの大切さが書かれていて、私自身も共感する部分が多く、クリニックのスタッフにも読むようにと紹介したのですが、まさに、それを経験することができました。

 「家庭医って、どんなことができる医者なのか?」

 と医学生や研修医から聞かれることもあるのですが、簡単には言葉にすることができないけれど、一度経験してもらえればわかってもらえることもたくさんあるんですよね。

 私は指導医として、何とか、言葉にしていかなければならないのですが、もし、あなたが、すでに、家庭医を目指して研修をされているのであれば、自分が家庭医を目指した思いを信じて、続けて頂きたいのです。

 必ずや、自分が何ができるのか、どんな役割を期待されているのか、どんな風に働くことで社会に役立っていけるのか、わかる日が、考えられる日が来ると思います。

 院長になってようやく1年ですが、室蘭で院長代行として働いていたのではきっと経験できなかった経験をさせてもらえています。

 自分にこのような役目を与えてくれた関係者の皆様に感謝いたします。

2011年3月14日月曜日

産婦人科診療

 本日、北星ファミリークリニックの副院長(北海道家庭医療学センターのフェロー)が近隣の産婦人科を標榜するクリニックで、自分の患者さんを一緒に診察させて頂きました。

 家庭医が働く中で、産婦人科疾患を診察することもありますが、北星ファミリークリニックは継承する前のクリニックが「内科・消化器科」を標榜していたため、産婦人科の診察をする診察台がありません。

 また、北星ファミリークリニックも「家庭医療科」と標榜ができないために、「内科・小児科」と標榜せざるを得ず、産婦人科の診察をしようとしても、受療者の方が不審に思われる場合もありますので、慎重にならざるを得ません。

 そこで、考えたのが、近隣の産婦人科を標榜するクリニックに患者さんを紹介させて頂き、自分も患者さんと一緒に行って、診察をさせて頂くという方法です。

 2月28日に院長先生と事務長さんにお願いに伺ったのですが、快く引き受けて頂き、今回の連携が実現しました。

 産婦人科のクリニックの院長先生を始め、全スタッフの皆様、本当にありがとうございます!